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高品質を保つ!解凍のワザ

液体凍結機「リ・ジョイスフリーザー」に関していただくお問い合わせの中で、3番目くらいに多い(私感ですが…)のが「解凍方法はどうすればいいですか?」です。
確かに、せっかくリ・ジョイスフリーザーを使用して高品質冷凍を行っても、解凍の工程で品質が低下してしまうと勿体ないですよね…
と言うことで、今回は解凍についてお話したいと思います。
実は、これがまた奥が深い話なんです……
一口に「解凍」と言っても世界中にはとてつもない種類の食品があります。また、食品の加工・調理方法も多岐にわたり、全てが同じ解凍方法と言うわけにはいきません。そのため「解凍方法はどうすればいいですか?」というご質問への回答は『解凍方法は食品とその前後の加工工程によって異なる』が正解なんですが、今回は特殊な解凍装置等を使用せずに、簡単かつ品質が保てるポピュラーな解凍方法をご紹介させていただきます。
コンセプトは「生で冷凍したお肉とお魚を、解凍して生に戻す」です。

結論からお話ししますと
「厚みのある物は氷水(1℃~5℃)に浸漬をさせてゆっくりと解凍するべし!!!薄い物は流水解凍でも可!!ただし!!!解凍しきる前に取り出すべし」
……よくわからない格言みたいになっておりますが、うんちくをお話しさせていただきたいと思います。

冷凍すると何が起こる?

食品の細胞内部には多くの水分が含まれており、凍結する過程において、その水分は膨張しながら徐々に氷結晶へと変わっていきます。
膨らんだ氷結晶は細胞膜を破壊し、解凍すると溶けるので、水分になって外に流れ出てしまいます。これが「ドリップ」の正体です。
ドリップが外に流れる際、細胞内のうまみ成分や栄養成分も一緒に流れ出てしまいますので、食品の美味しさが大きく失われてしまいます。
つまり、この氷結晶が大きくならないように冷凍すれば、食品の美味しさは保てる、ということです。氷結晶が大きく膨張する温度帯を速く通過してしまえば、質の高い冷凍が出来る、ということになります。
リ・ジョイスフリーザーは-35℃まで冷却された液体に食品を浸漬させて凍結する機械です。液体を使用するメリットは、空気よりも熱を伝える速さ(熱伝達率)が非常に高いからです。リ・ジョイスフリーザーはこの液体の持つ性質を生かし、氷結晶が細胞膜を破壊するほど膨張するより速く凍結してしまう機械です。

解凍にはどんな方法がある?

では、解凍時はどうなのか?もちろん解凍時も、先ほどの氷結晶が膨張する温度帯を通過します。そのため、時間を掛けてゆっくり解凍するよりも速く解凍した方が良い、と言えます。
また、「液体を使用する解凍」のほうが、より速く解凍できます。空気に触れさせて解凍するよりも、液体に触れさせて解凍するほうが速いのは、前述のとおり液体のほうが空気よりも熱伝導率が高いからです。冷凍のときと同じですね。

解凍の方法には大きく分けて3つあります。
① 冷蔵解凍 (食品を冷蔵庫に入れる=空気に触れさせて解凍する方法)
② 氷水で液体解凍(食品を氷水に浸ける=液体に触れさせて解凍する方法)
③ 流水で液体解凍(食品に水をかける=液体に触れさせて解凍する方法)

冷蔵解凍ならば冷蔵庫に入れておくだけで一定の低温を保ってくれるため、液体を使用した解凍よりも手間が掛からないことは事実です。冷蔵解凍の大きなメリットと言えますね。例えば氷水で液体解凍する場合、水温を低く保つことが目的ですので、氷が無くなる前に足す必要があります。冷蔵庫に入れておくだけの冷蔵解凍に比べると、どうしても手間がかかります。
また流水解凍の場合、完全に解凍された後も水に触れ続けると、かえってドリップが多く出てしまいうというデメリットがあります。(理由は後述します)液体解凍は、いずれの方法でも小まめに確認が必要となり、手間がかかります。

液体解凍は氷水・流水のどちらがベスト?

氷水で解凍するか、流水で解凍するかは、食品の厚みによって使い分けます。
まず前提として(電子レンジのような一部の調理機器を使う場合は除きますが)加熱するにしても冷却するにしても、熱というのは必ず食品の外側から内側へ向かって伝わります。

ブロック肉のような厚みのある食品を流水で解凍した場合、氷水よりも速く解凍できますが、完全に解凍されるまでは時間がかかります。中心部分が完全に解凍される頃には、お肉の表面はもちろん、中心に近い部分までも、水温に近い温度になってしまいます。このとき問題になるのは水温です。一般的に水道水の年間平均温度は16℃と言われていますが、実は10℃から60℃の間の温度帯は、お肉やお魚のタンパク質が変性してしまう温度なのです。

肉やお魚の細胞の多くは筋線維(筋肉)であり、もちろんその中には多くの水分が含まれています。急速凍結をすると凍結時に氷結晶となったものが、解凍時には水分に戻って細胞に吸収されますが、解凍時タンパク質が変性してしまうと、水分の吸収が悪くなってしまい、吸収されなかった水分はドリップとなって流れ出てしまいます。
こういった理由から、厚みのある食品は流水での解凍には不向きと言えます。

こういう場合は流水解凍がおすすめ!

逆に厚みがさほど無い場合は、より速く解凍できる流水解凍がおすすめです。解凍時、外側と中心部の温度差が生じない程度の厚みであれば、流水解凍で問題ありません。
ただし、水温が10℃から60℃の間の温度だとタンパク質を変性させてしまうことには変わりありません。完全に解凍が出来たのに流水にさらし続けるとタンパク質変性が起きてしまうので、引き上げるタイミングがポイントです。解凍し切ってしまうまえに引き上げることをおすすめします。

解凍方法はケースバイケース

いろんな解凍方法と、その使い分けについてご紹介しましたが、これはあくまで「生で冷凍したお肉とお魚を、解凍して生に戻す」場合を前提とした方法です。熱加工した食品の場合は?解凍後にすぐ加熱調理する場合は?など、本当にケースバイケースです。
例えば加熱調理後の食品を冷凍する場合、タンパク質変性の原因となる酵素は既に失活しているので、解凍時に変性することは防げます。
また、解凍後にすぐ加熱調理するもので、なおかつ食品の厚みが薄いものなら、電子レンジで解凍したり、凍ったまま加熱調理しても問題ない場合もあります。凍ったまま油で揚げるコロッケや、電子レンジで温めて食べるパスタなんかも、その例ですね。
逆に食品に厚みがある場合だと、フライパンなどで加熱調理すると下からしか熱が伝わらないので、出来上がるころには硬くなってしまったりします。電子レンジでも、マイクロ波が中まで伝わらず、加熱ムラが起きてしまうことがあります。
このように、どんな食品をどのように加工して冷凍し、解凍したあとどのように食べるかによって、解凍方法は使い分ける必要があります。

まとめ

冷凍と同じように解凍も奥が深いこと、分かっていただけましたか?美味しさを保ったまま冷凍できるリ・ジョイスフリーザーを使ったのに、解凍がうまく出来なくて……なんてことにならないよう、解凍もサポートしていきたいと思います。また食品の解凍方法についての記事をアップしますので、ぜひご覧くださいね。

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