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米田工機のボイルの世界(前編)

寒さの厳しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?今年ももう12月ですね。
今回は当社の製品「ボイル槽」についてご紹介します。そもそもなぜ食品をボイルするのでしょうか。米田工機がつくるボイル槽のご紹介だけでなく、ボイルそのものにどんな効果があるのかをお話したいと思います。
全2回の記事を予定していますので、ぜひご覧くださいね。

そもそもなぜ食品をボイル(湯煎)するの?

これから旬を迎える食材のひとつ、蟹!私の妻も大好物で、毎年「蟹~蟹~」と唱えており、我が家では冬の恒例行事となっています。
「ボイル○○蟹」もしくは「○○蟹(ボイル)」とパッケージに表記されて販売されている蟹を見たことがありませんか?蟹だけでなく、タコもボイルで売られていますよね。
また、蟹やタコのような海産物だけでなく、スーパー等で販売されている加工食品でも、包装後にボイルを行う場合があります。
実は「ボイル」と一口に言っても、様々な用途で使われているんです。

海産物のボイル


海産物・水産物のボイルはまず、殺菌のためと言えます。ですが、それ以上に食材をおいしく食べられるようにする「調理」のため、という意味合いが強いのです。また、水ではなく塩水を使ってボイルすることが多いのも、特徴のひとつです。
例えば……

①蟹のボイル

・殺菌効果
・うま味を増すため→塩は蟹の身の味を引き立て、ボイルすることで身が締まります。

②タコのボイル

・食べやすくするため→ボイルすることで歯切れが良くなり、食べやすくなります。
・うま味を増すため→ボイルすることで、よりうま味が凝縮されます。

ブランチング処理


「ブランチング」という言葉は、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、これは主に野菜や果物などを冷凍するときに「短時間加熱したあとで冷やす」という調理法のことです。さっとボイルして冷やす、という工程で、品質を保ったまま冷凍することができます。
そもそも野菜にはたくさんの酵素が含まれており、この酵素が解凍後の変色や食感を悪くする原因となっています。ボイルすれば酵素のはたらきを止めることが出来るので、品質の低下を抑えることが出来るのです。
また、品物によって量は異なるものの、すべての食品には水分が含まれています。もちろん野菜も水分を含みます。
冷凍するとその水分が膨張し、細胞を破壊してしまうので、解凍後は食感が悪くなってしまうのですが、冷凍前にボイルすることであらかじめ細胞を柔らかくしておけば、解凍後も劣化せずに食べられる、というわけです。
ただし、すべての野菜がこの「ブランチング」に適しているわけではありません。短時間のボイルでも変形したり破損したりしてしまう野菜や、そもそも含水量が少ない野菜は適していません。

ボイル殺菌


「ボイル殺菌」とは、加工食品を流通・販売用のパッケージに投入・充填したあと、お湯に浸けて殺菌する方法のことです。熱を加えて殺菌するので「熱殺菌」と言います。ちなみにボイル殺菌以外にもいくつか殺菌方法がありますが、皆さんがご存じなのは「レトルト殺菌」でしょうか。こちらは「レトルト」と呼ばれる圧力鍋で加圧し、100℃を超える温度で殺菌を行うことを指します。
地球上には目に見えない細菌や微生物が空気中も含めて様々な場所に生息しており、もちろん製造された加工食品の表面や中にも付着もしくは混入しています。これらの細菌や微生物をそのままにしてしまうと腐敗の原因になるため、それを防ぐためにパッキング後に何らかの方法で殺菌を行う必要がります。そこで活躍するのがボイル殺菌。食品製造現場で多く利用されています。
ボイル殺菌の強みは瓶詰の製品からフィルムで包装した製品まで、形態を問わずに利用することが出来る点です。また、生産量が少なくても多くても、ニーズに合わせて対応することが出来るのもメリットのひとつと言えます。また、他の方式の装置よりも構造的に単純な装置が多く、他の殺菌装置よりも低いコストで導入することが出来るのも魅力です。

ボイル殺菌とレトルト殺菌の違い

ボイル殺菌とレトルト殺菌は、加工食品の内容物や、ターゲットとする細菌・微生物によって使い分けます。細菌の中には耐熱性が非常に高いものも存在し、実は100℃でも死滅しない細菌もいるんです!その代表格が「ボツリヌス菌」。この菌の発育条件は「pH(ペーハー値)4.6を超え、かつAw(水分活性)0.96を超える場合」と定められており、その数値に該当する物はレトルト殺菌を行う必要があります。

まとめ

なかなか奥が深いボイルの世界。今回ご紹介したのはそれぞれの分野の導入程度のお話ですが、ひとつひとつを掘り下げていけば、まだまだボイルの世界は深いです。私自身ももっと勉強し、こちらのブログで発信していきたいと思います。
次回は当社が作るボイル槽をご紹介します。

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